福井工業大学 三寺研究室より
ここでは、福井市が誕生してから現在に至るまでの「福井のまちづくり」の歴史的な変遷を、解説付きの年表で示します。福井の市街地は、戦災や震災など度重なる大きな災害によって壊滅的なダメージを受けましたが、その災害を乗り越え、急速に近代的な都市づくりが進められました。しかし、1960年代以降、車社会の到来により、郊外への機能移転がすすみ、市街地は大きく拡大しました。昨今、都心部の空洞化が深刻となり、都心部を再生しようとする計画が1980年代後半から作られています。
これまでのまちづくりを振り返ると、車社会の中で人と車が共存しつつ、地域資源を活かしながら居心地の良い場所をつくり、歩行ネットワークでつなぎ、郊外にはない快適な歩ける環境を作ろうと計画・整備をすすめています。


戦前のまちづくり 1889−1944
1889年 | 福井市の誕生 | 繊維産業を基盤とする商工都市、県内の政治・経済・文化の中心都市として開発 |
1896年 | 鉄道路線の開通 | 1896年北陸本線(敦賀-福井間)が官営鉄道として建設、翌年に森田-小松間が開通 |
1923年 | 県庁の本丸跡への移転 | 県庁跡地と周辺には百貨店や商店が進出し、にぎやかな商店街やビジネス街が誕生 |
戦後のまちづくり 1945−1969
1945年 | 戦災復興土地区画整理事業に着手 | 街路の拡張整備、上下水道の改良、公園緑地の拡充などが推進 |
1896年 | 地域鉄道の整備 | 大正時代からすすめられた整備が現在の形にまで整備 |
1923年 | 戦災復興土地区画整理事業が完成 | 全国の戦災都市の中でも高い区画整理済率(1980年:63.9%)を示す |
近代のまちづくり 1970−1984
1970年 | 線引き都市計画の設定 | 全国に先駆けて区域区分(市街地化の区分)を設定 |
1970年代後半:各種施設の郊外移転/都心の空洞化、商業活動の停滞
1980年 | 地方都市の将来展望と中長期交通計画分析 | 都心部の交通計画の検討、都心環状道路、駅東地区55haを新都心地区とする。 |
1984年 | 御屋形地区第一種市街地再開発事業が都市計画決定 | 佐佳枝廼社、ホテルフジタ周辺地区の一体的整備 |
現代のまちづくり 1985−1999
1980年頃:都市景観への関心/福井駅周辺整備構想と関連した動き
1985年頃 | 中心市街地整備基本構想、駅周辺整備基本構想 | |
1988年 | 商業近代化地域計画ローリング事業 | 都心づくりにおける駅周辺中心市街地整備の必要性 |
1988年 | コミュニティマート構想モデル事業 | 鉄道事業者が加わり福井駅前商店街振興組合により、トランジットモールの導入、モール21、楽しい歩行空間などが提案された |
1989年 | 福井市都市景観基本計画 | 福井市の都市景観整備の基本的な方向性を明示し、市民と行政が協力してその目標を実現するための指針を示した |
1990年 | 三の丸地区第一種市街地再開発事業が都市計画決定 | 病院と福祉施設、マンションが一体化したユニークな再開発ビルの建設を行い、都市人口の増加と地域の活性化を目指す提案を示す |
シンボルロード整備事業 | 地域特性を活かしつつ、都市・地域の顔となるような道路整備を行うため「風格あるみどりのまち」で景観を第一にすすめる | |
福井城本丸石垣修復、福井城お城周辺整備事業 | ||
福井市中心市街地整備基本計画 | 立体的駅前広場、総合交通広場としての機能性を考え、シンボル性やうるおいを付加、都心地区をコアゾーンとして段階的な発展を示す |
1990年頃:福井市の都市整備の方向性を再度一極集中へ
1991年 | 福井市都市景観条例 | 「福井市都市景観基本計画(1989)」に続き、福井市全域を対象として良好な都市景観形成のためのルールや制度を整えた |
1991年 | 福井駅付近連続立体交差事業、駅周辺土地区画整理事業が都市計画決定 | JR北陸本線(福井駅付近約3.3km)の鉄道を高架化することにより、踏切を除去し、都市内交通の円滑化を図りこれまでの分断を解消する |
1992年 | 福井市駐車場整備計画 | 自動車交通の集中によって発生する道路交通混雑の解消を図り、円滑な道路交通を確保するため公共駐車場の整備を進める |
1994年 | ふるさとの顔づくり計画 | 都心構築のための先行的核づくり、新しい景観創出を行う |
1995年 | 福井駅周辺市街地総合再生計画 | 主に宅地部分の更新や整備をすすめる |
1996年 | 福井市歴史のみち整備計画 | 福井市都市景観基本計画を前提とし、内堀の道、北の庄城址と養浩館庭園をつなぐ道を「歴史のみち」と指定し整備を進める |
1999年 | 福井市中心市街地活性化基本計画 | 「出会い、暮らし、遊びが彩るまちづくり」の理念のもと、「プラス1時間楽しむまち」を基本目標に、県庁線沿いの再開発、無電線化事業、コミュニティバスの運行のソフト事業などを計画、整備をすすめる |
現代のまちづくり 2000−2009
2000 年頃:大和田エリアなど市街化区域(市街地)が大きく拡大
2000年 | まちづくり福井株式会社が設立 | …中心市街地における商業まちづくりを運営・管理する機関として設立、福井駅周辺の中心市街地活性化のための事業を進める ●コミュニティバス「すまいる」の運行 ●まちなかイベント・祭りの企画・中心市街地店舗開業支援など |
2000年 | 福井市都市計画マスタープラン | …都市計画に関する基本的な方針を示す計画を策定、都市づくりの将来の目標や将来像などを示し、まちづくりの指針とする ●トラフィックセル内のにぎわい交流拠点の整備 ●回遊区間の整備 ●周辺とのネットワークの整備 ●公共交通と自動車アクセスの整備 ●都心居住の推進 ●県庁線沿いの再開発 など |
2003 年 | 第三セクター鉄道会社 「えちぜん鉄道」 運行開始 | 自動車交通の集中によって発生する道路交通混雑の解消を図り、円滑な道路交通を確保するため公共駐車場の整備を進める |
2005年 | 福井駅高架化、高架下商業施設の開業、JR 福井駅新駅舎開業 | 都心構築のための先行的核づくり、新しい景観創出を行う |
2007年 | 手寄地区市街地再開発事業 「AOSSA」開業 | 主に宅地部分の更新や整備をすすめる |
2008年 | 福井市景観計画 | …市民が誇りをもつことができる望ましい将来の景観像を描き、実現するために必要な景観形成に関する基本的な方向性を明らかにした ●質の高い都市空間 ●楽しさやにぎわいのある業務・商業空間 ●ゆとりと潤いのある緑豊かな歩行空間 ●福井城址へのアプローチとしての風格ある沿道空間 など |
現代のまちづくり 2010−2014
中心市街地を県都の玄関口として 活力と魅力ある拠点の形成に向け整備を推進
2010年 | (改定)福井市都市計画マスタープラン | …「歩く」視点に立った都市づくりの考え方を継承し、「暮らしの豊かさを実感できる『歩きたくなる』まち」を目標に都市づくりを進める ●コンパクトシティ●地域拠点の設定 |
2013年 | 県都デザイン戦略 | …福井国体や北陸新幹線の福井延伸等を控え、中・長期的視点に立ったまちづくりを進める ●「緑のシンボル軸」の形成 ●駅と城址を結ぶ緑豊かな県庁線の整備 ●歩きやすい歩行者ネットワークの充実 |
現代のまちづくり 2015−
2016年 | 福井駅西口広場が供用開始 | …新たにバス乗降場と福井鉄道の駅が整備され(福井鉄道延伸)、交通機関の乗り継ぎが容易になった |
2016年 | 福井鉄道・えちぜん鉄道の相互乗入れを開始 | |
2016年 | 福井駅西口中央地区第一種市街地再開発事業 「ハピリン」開業 | |
2016年 | 福井駅・城址周辺地区のまちづくりガイドライン | …エリアの特性、地域課題を踏まえ、住民・事業者・行政が共有すべきまちの方向性・将来像を示す |
2018年 | 中央公園再整備事業の完成 | …県民会館跡地に城址と中央公園の一体性を高める公園整備を行う |
2019年 | 福井市立地適正化計画 | …都市計画マスタープランの一部として位置づけられ、居住や必要な都市機能の適正な誘導を図ることで、コンパクトなまちづくりと公共交通の確保を図り、持続可能な都市づくりを推進する ●都市機能誘導区域の設定 ●居住誘導区域、居住環境再構築区域の設定 |
2019年 | 福井駅前電車通り北地区A街区第一種市街地再開発事業が都市計画決定 |