ガス設備が揃い、整った物件
【物件情報】
・企業局1Fガスショールーム(大手3丁目)
・持主:福井市・昭和39年建築・鉄筋造地上6階、地下1階建
・延床面積:173.59㎡
*ガス事業の民間譲渡に伴い、令和2年度以降は民間事業者への
貸し出しを検討している。


福井市役所庁舎北側に隣接する中央公園に面して位置する「福井市企業局」のビル1階。ガスコンロやシステムキッチンなどの商品に触れることができるショールームとして利用され、ガスの普及活動の一環として料理教室なども行われている。しかし、2020年4月からのガス事業の民営化により、本物件が空きテナントとなることを受け、「チーム・ガス」によって「中央公園と連携をとった活用方法」について事業提案がなされた。
物件の設備の特徴として、すぐにでも使えるシステムキッチンが設置されていること、また目の前に公園があることに目を付け、「中央公園の管理事務所を兼ねたオープンカフェ」を企画。せっかく広々としたスペースがありながら、中央公園に人がいない・通らないことに疑問を感じ、駅前への周遊性も視野に入れたものだ。

手ぶらで気軽に集える中央公園へ

チーム・ガスでは、公園の利用についてアンケートを取り、ピクニックや外遊びのために荷物を持たずに手ぶらで来ても楽しめるレンタルサービスや、休憩所としてビル1階のスペースを解放しカフェレストランとしての利用ができる仕組みを提案。中央公園と連携した一連の事業を「Minniwa(ミンニワ)」と称し、もっと気軽に人々が公園に集うための様々なアイデアが飛び出した。

例えば、通勤中にも利用できるコーヒースタンドを設置したり、小さな子どもが来ても安心できるようにキッズスペースを設けたり、芝生の上での青空ウェディングを企画したり。その他、昨年開催された「ONE PARK FESTIVAL 2019」もヒントにして、音楽イベントやマルシェなどもスケッチに盛り込まれた。
現在の中央公園の指定管理を民間が受ける体制を整えていき、行政との連携がスムーズに取れるようになれば、自由度の高い利活用が期待できる。今後の展開は中央公園に限らず、他の公共空間の利活用も含め、理想的な形へと進むための官民連携が重要となるだろう。

講評 [オープン・エー 馬場正尊氏]
「この事業は、カフェを作ることが目的ではない。最後に描いた写真のように公園に人が集いにぎわいを作ることが目的。該当物件が主になるのではなく、公園の付帯の施設であることを明快にした方がいい。海の家のように、公園で滞在するためにカフェ利用できるサービスを整えると良いだろう。中央公園を新しい市民の憩いの場にすることは福井市の施策としても受け入れられやすいはずだ。」